アドバンテストグループのマテリアリティ アドバンテストグループのマテリアリティ

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マテリアリティに対する考え方

アドバンテストでは、自社事業が社会に及ぼす影響および社会から求められる解決すべき課題を把握した上で、自社として取り組むべきCSRの重要課題(マテリアリティ)を明確にし、具体的な取り組み指標(KPI)に基づいてマネジメントしていくことが重要だと考えます。
そのため、2015年度はGRIガイドライン第4版などを参考に、3つのステップを踏んでマテリアリティの特定を行いました。

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マテリアリティ特定のプロセス

Step1:項目整理と評価基準の作成

GRIサステナビリティ・レポーティングガイドライン第4版で示された46のアスペクト(側面)や、EICC行動規範*の要求事項、SASB*などの業界スタンダード、お客様からのCSRアンケートの内容を踏まえ、計50のマテリアリティ・アスペクト候補を抽出しました。
さらにバウンダリーやビジネスリスクとの整合性を踏まえ、優先度を決めるための評価基準を設定しました。

* EICC® : Electronic Industry Citizenship Coalition、またはElectronic Industry Code of Conduct

* SASB : Sustainability Accounting Standards Board (米国サステナビリティ会計基準審議会)

Step2:社内外の視点で見た重要度の検討

CSRワーキンググループメンバー、関係部署、担当役員で構成するマテリアリティ特定プロジェクトチームを編成した上で、3回にわたるワークショップを開催。「ステークホルダーから見た重要度」と「アドバンテストグループとしての重要度」におけるマテリアリティを検討しました。

Step3:マテリアリティ・アスペクト確定とKPI策定

特定したマテリアリティについては、常務会に上申し、承認を受けました。
そこで、常務会承認後、さらにマテリアリティ特定プロジェクトチームにてKPIを討議し、マテリアリティ・アスペクトごとに1~2つの指標およびKPI目標値を策定しました。

特定したマテリアリティと関連するKPI

カテゴリ 特定したマテリアリティ 関連するG4指標 KPI
経済 経済パフォーマンス G4-EC1 売上高、営業利益率
知的財産保護 - 知的財産に関するe-learning受講者割合
環境 エネルギー G4-EN3 エネルギー消費原単位改善率
大気への排出 G4-EN15 GHG排出量スコープ1・2
排水および廃棄物 G4-EN23 廃棄物リサイクル率
有害物質 - 取引先有害物質含有調査の対象先割合
製品およびサービス G4-EN27 グリーン製品自主基準クリア製品割合
コンプライアンス G4-EN29 環境コンプライアンス違反件数
サプライヤーの環境評価 G4-EN32 環境影響評価を行ったうえで、取引を開始した新規サプライヤーの割合
社会 紛争鉱物 - 「紛争鉱物問題」への対応は、お取引先様に材料・部材等の調達先の透明性の確保をお願いし、業界団体と連携し、お取引先様と共に紛争鉱物情報 (製錬業者情報) の調査をおこない、よりリスクの少ない部材を使用する努力を継続する。
雇用 G4-LA3 出産・育児休暇後の復職率
労働安全衛生 G4-LA6 労働災害発生率
研修および教育 G4-LA9 従業員あたりの年間平均研修時間
多様性と機会均等 G4-LA12 女性社員比率
サプライヤーの労働慣行評価 G4-LA14 労働慣行に関する評価を行ったうえで、取引を開始した新規サプライヤーの割合
非差別 G4-HR3 ヘルプラインへの問い合わせに対する解決件数
サプライヤーの人権評価 G4-HR10 人権に関する評価を行った上で、取引を開始した新規サプライヤーの割合
腐敗防止 G4-SO5 不正行為の確認件数
独占禁止法の遵守 G4-SO7 関連する法的措置事例件数
コンプライアンス G4-SO8 社会的側面におけるコンプライアンス違反件数
サプライヤーの社会への影響評価 G4-SO9 社会への影響評価を行ったうえで、取引を開始した新規サプライヤーの割合
顧客の安全衛生 G4-PR2 安全性に関する自主規範違反件数
顧客のプライバシー G4-PR8 情報セキュリティに関するクレーム件数
コンプライアンス G4-PR9 製品/サービスに関するコンプライアンス違反件数

担当役員より

持続可能な社会実現への貢献と、利益創出による企業価値向上を両立させることが、アドバンテストが全てのステークホルダーから期待されていることです。私たちは、中長期的な視点に立ち、現代社会が抱える多くの課題に対して、「はかる」技術で貢献することを事業活動とCSR活動共有の原点としています。その原点を忘れずに、サプライチェーンも含めた企業活動全体で社会的責任を果たしていきます。

2015 年度には、社内のCSR ワーキンググループ、関連部署の責任者、担当役員で構成する 「マテリアリティ策定プロジェクト」を立ち上げました。本プロジェクトで当社グループへの社会的な期待について確認し、どのテーマに重点を置くか議論を行い、24のマテリアリティを特定しました。この取り組みは、サプライチェーンの複雑性およびサプライチェーンへの責任の範囲という両面から、事業展開を見直すきっかけにもなりました。また、特定したマテリアリティには、パソコン、スマートフォンなどの精密機器や電気製品に使用されている半導体部品の材料に、3TG と呼ばれる紛争鉱物*が含まれていないかを追跡調査することも含まれています。

2016年度は、特定した各マテリアリティに関し、2018年度をゴールとする目標値および活動の指標とするKPI(Key Performance Indicator)を定め、具体的な活動を進めます。目標達成のため、北米、ヨーロッパ、アジア他18ヵ国で展開する拠点を通じ、世界中の現場にCSR活動を浸透させていきます。

*紛争鉱物:スズ(tin)、タンタル(tantalum)、タングステン(tungsten)、金(gold)の4 金属(3TG)およびその原石であるスズ石、コロンバイト-タンタライト(コルタン)、鉄マンガン重石、金の4 鉱物を指す。紛争の絶えないアフリカ・コンゴ民主共和国およびその近隣国はこれらの鉱物の産地であり、その採掘や取引は、武装集団の資金源であるとともに人権侵害、労働問題等の根源でもあると言われている。

常務執行役員
津久井 幸一