人材の育成と公正な評価・処遇
マテリアリティ「研修および教育」へのアプローチ
企業価値を向上させるには、社員一人ひとりが自分の役割を明確に把握し、個人の能力を高める必要があります。その点から、研修および教育に関しては、重要なCSRテーマであると認識しています。
担当部署 | 人事部 |
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KPI | 従業員あたりの年間平均研修時間 |
2018年度目標 | 若手社員の基礎能力育成のため、毎年各新入社員の特性・会社の方針を反映した研修の充実を図る。 |
2016年度実績 | 研修時間12,249h、AT単体2,245名(臨時含む)、平均5.5h |
バウンダリー(対象範囲) | 日本国内のアドバンテスト単体 |
関連する方針 | 人材育成方針 |
関連するコミットメント | ― |
責任部署・部門 | 人事部 |
関連する苦情処理制度 | 研修実施後のアンケートを基に対処 |
評価 | △ |
人材育成方針
企業価値を向上させるには、社員一人ひとりが自分の役割を明確に把握し、個人の能力を高める必要があります。また、すべての社員が主体性を持って求められる能力を磨くと同時に、その個々の力がグループの力としてグローバル・ビジネスの舞台で十分に発揮されることが求められます。
さらに、斬新なアイデアを製品という形に変え世の中に送り出すためには、グループとしての力を結集させることのできる優れたマネジメントスキルも重要です。
アドバンテストでは、2003年4月に人材育成方針を定め、下図の3つの方針に基づき人材育成に取り組んでいます。
特に、「チャレンジスピリット」、「グローバル化」、「マネジメントのレベルアップ」の3つの方針を、グローバルに通用するプロフェッショナルな人材育成の要点として、注力しています。当社では、これらの方針を通じて自己研鑚に励み、高度な専門知識や幅広い教養を身につけようとする社員を積極的に支援しています。
グローバルに通用するプロ人材の育成
教育研修体系と実施状況
アドバンテストでは、あらゆる階層で誰でも参加できる教育研修プログラムを用意しており、基本的な知識から最新の技術動向までを幅広く学ぶことができます。また、この教育研修プログラムが環境変化に適応したものとなるよう、さらなる改善を検討し続けています。
グローバル化の進展により、大きく変化するビジネス環境に適応するために、前述の人材育成方針に沿った人材教育体系について検討を開始しました。また内容の充実化を図るため、グローバル系研修の拡充など、新規プログラムの企画、実施に取り組んでいます。新規プログラムは、研修内容に応じて、内部・外部の講師を使い分けるなど、各分野の専門家による効果的なプログラムを用意しています。
今後、教育体系は、国内だけでなく海外関係会社の意見も取り入れ、グローバルな視点で再構築していく予定です。
2016年度は、のべ1,686名の社員が何らかの研修を受講し、総研修時間は12,249時間、社員一人あたりの平均研修時間は約5.5時間でした。(新入社員研修を除く)
研修カテゴリー | 対象 | 受講者数 | 研修時間 |
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キャリア研修 | 管理職・一般社員 | 175名 | 2,625H |
ビジネス研修 | 管理職・一般社員 | 317名 | 3,044H |
テクニカル研修 | 管理職・一般社員 | 355名 | 1,896H |
eラーニング | 管理職 | 17名 | 850H |
英会話 | 管理職・一般社員 | 69名 | 1,656H |
外部セミナー | 管理職・一般社員 | 224名 | 1,120H |
TOEIC | 管理職・一般社員 | 529名 | 1,058H |
合計 | 1,686名 | 12,249H |
エンジニアの育成
アドバンテストでは、当社製品が世の中の先端技術を支え続けることを目的に、特にエンジニアの教育に力を入れています。
基礎知識から最新の技術動向について幅広く学ぶことができる、独自のプログラムを用意しており、当社グループの社員であれば、誰でも参加することができます。
2016年度も、各種の技術セミナーを行い、のべ292名のエンジニアが受講しました。
プログラムのなかには、ベテランのエンジニア社員が講師になるものもあり、例えば、設計品質をテーマとしたものでは、設計業務を担当する社員が自身の経験を基に、品質維持と向上に欠かせない基礎技術について講義します。これらのプログラムを通して、技術的な知識だけでなく、アドバンテストのDNAも受け継がれていきます。
新入社員の教育・研修
新入社員は、まず3週間のビジネス基礎研修で社会人としての基本を身につけ、会社を知ることから始めます。その後、技術系、事務系に分かれて職種別研修を受けます。
技術系社員は、最初に設計の基礎を学び、その後、製品の使用方法や品質保証、知的財産など技術系社員に必須の基本知識を習得する「技術基礎研修」、ものづくりの原点である「製造研修」、開発および新製品生産立ち上げの実務を体験する「開発実践研修」を通じ、アドバンテストのエンジニアとして必要な技術を習得します。事務系社員は、営業、生産、管理の3部門で実習を行い、グループ全体の事業内容や、部門間の業務のかかわりを学びます。
このように、新入社員はさまざまな業務を経験することで配属後の自分の役割を強く認識し、関係部門と協力して業務を進めていくようになります。新人研修の期間は、当社の社員になるための大切な形成期間といえます。
新入社員研修の構成
公正な評価・処遇
業績評価やキャリア開発に関しては、期初に立てた目標に対し、期中に上司と適宜コミュニケーションを図るとともに、年度末の考課面談を通じて行っています。この面談は、正社員だけでなく、一部の契約・嘱託社員にも実施しています。
ARMS人事考課制度
アドバンテストは、現在、海外売上高比率が90%以上、全従業員4,638名のうち40%以上に相当する2,063名が海外関係会社の従業員で占めており、グローバルカンパニーとして事業を推進しています。この体制を踏まえ、当社は2012年4月、世界の複数拠点による協業や人事交流・異動などを円滑に進めていくためのグローバルに統一された人事制度、「ARMS (Advantest Resource Management System)」を導入しました。
グローバル人事制度
「ARMS」では、これまで各国の事業会社が独自に定めていた資格制度を廃して、新たに世界共通の10段階の資格制度を整備しました。この制度では、ジョブレベル1から6までを一般社員層に、ジョブレベル7から10までを管理職層に適用しています。管理職層については、予算管理や部下の考課・労務管理などを担当するマネジャーと、業務の取りまとめや業務遂行に専念するマネジャーの2系統を制度化しました。部下をもつライン長を前者、それ以外のスペシャリストを後者に位置づけ、複線型の資格制度とし、多様な人材をマネジャーとして処遇できる体制としています。
また、基本給や賞与などの給与体系についても世界共通のルールを適用しています。例えば、従来のアドバンテストでは、賞与は所属する各国法人の業績を反映する仕組みが主でしたが、新制度では連結決算の損益を反映する仕組みに変更しました。さらに、人事考課についても2012年度から新しい制度を適用しています。これらグローバル共通の新制度によって、社員は世界のどの組織に所属していても同一基準の評価・処遇が適用されており、すべての社員が評価、育成等に関しての面談を年1回以上受けています。
本グローバル人事制度導入後5年が経過し、その間、日本からの海外出向者の増加や海外関係会社間の人材交流などが図られ、組織の活性化、企業業績の伸長に寄与しています。
グローバル・ジョブレベル & タイトル
一方、就業時間や在宅勤務制度の有無など詳細な労務管理については、世界各国の法令や現地の労働習慣などに応じて個別に運用していく仕組みです。
2014年度以降、グローバルな人事データベースを整備し、グローバル規模でのプロジェクトチームの組成やスムーズな人事異動などに有効活用しています。また、2015年度の人事考課よりグローバルな人事考課システムを導入し、利用を開始しました。今後も、グローバルな人材開発システムの整備や、多様な人材の積極的な雇用・登用によるダイバーシティの推進、各国の事業戦略などに即した人材採用戦略の策定にも積極的に取り組んでいきます。
アドバンテストでは、今後もグローバルカンパニーとして、グループの多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮できる職場環境の整備に力を注いでいきます。
年金制度
アドバンテスト(国内)は、退職金の制度としてポイント制を導入しています。また、年金制度として基金型の確定給付型企業年金を導入し、年金資産の運用をアドバンテスト企業年金基金に委ねています。退職金は、会社支給分である退職一時金と、勤続年数により年金化が可能な基金分に分かれていますが、いずれも当社が100%負担する仕組みとなっています。