特集:生産で
事業統合によるスケールメリットを発揮して、業界内におけるプレゼンスを、さらに高めていくために。
アドバンテストでは、モノづくりの考え方や生産スタイルの違いを越えて「自社工場生産の利点」と「EMS生産の利点」とを組み合わせた新たな生産スタイルの構築に取り組んでいます。
半導体業界では近年、国境を越えた国際分業が進展しつつあり、半導体の生産拠点は台湾、韓国、中国をはじめとするアジア地域へ急速にシフトしつつあります。こうした変化に柔軟に対応し、激化する市場競争を勝ち抜くためには、市場に求められる高品質な製品を最適な場所で生産し、タイムリーに供給できる体制を構築することが必要不可欠です。
こうしたなか、アドバンテストでは現在、事業統合によるスケールメリットを十分に発揮しながら、自社工場と EMS(Electronics Manufacturing Service:電子製品受託生産サービス)とを融合し、顧客ニーズに応える製品を柔軟に開発・供給できる“グローバル最適生産体制”の確立を目指してさまざまな施策を推進しています。
なかでも特に注力しているのが、「NPI(New Product Introduction=新製品立ち上げ)活動」です。この活動は、設計部門や生産技術部門、調達部門、品質保証部門などのスタッフで構成された専門チームが、新製品開発の初期段階から参画し、調達部品の厳選やより緻密で効率的な生産計画の立案、さらにはコスト管理の徹底などを実践することで、原価の低減を図り、最適な生産場所での低コストな量産化を目指す取り組みです。たとえば、自社工場での生産を基本としてきた国内製造部門ではこれまで、設計段階で選定された部品に基づき生産しながら、主に組配方法や製造工程の検討を徹底することでコストダウンに努めてきましたが、ここにNPI活動を導入することで、より上流工程に遡ったコストダウンを図り、さらなる競争力の強化に努めています。アドバンテストでは、事業統合後初の新製品開発プロジェクトからNPI活動を本格導入し、海外の担当部門と協力して、開発~量産化プロセスの抜本的な革新に挑戦しています。
NPI活動イメージ
このほかにも、事業統合によるスケールメリットを発揮するために組織やスタイルの融合を図る施策を推進しています。
たとえば調達部門では、コモディティ部品、ASIC、電源関係などの部品カテゴリー別に共通の調達チームを立ち上げ、各チーム内や国内外の調達部門全体で情報共有を図りながら、世界中から良い部品を一物一価の最安値、最短納期で調達できる体制構築をめざしています。
また、生産管理部門では、これまで別々に行われてきた国内生産部門と海外生産部門との長期需要予測会議・生産計画会議の一本化に取り組み、アドバンテストグループ全体の製品の生産計画を統合するとともに、各種会議のスリム化、業務効率向上を図っています。
変化する社会、進化する市場に柔軟に対応し、厳しい市場競争を勝ち抜くためには、これまでのスタイルに固執するのではなく、新しい視点や考えを採り入れながら、常により良いスタイルを模索し続けることが大切です。グローバル最適生産体制の実現を目指して、―――
アドバンテストの生産革新はこれから本格化していきます。
Staff Voices
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- 生産本部 廣瀬 賢一
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円滑な生産移管によってグローバル最適生産のメリットを発揮
私は、事業統合後初の製品開発案件に、日本側のNPIチームの一員として参加しました。新製品リリースの約半年前、初期プロトタイプの製作・評価がスタートした段階から数回にわたり米国出張。以来、現地に延べ4カ月間滞在して、米国の開発部門と日本の生産部門とのスケジュール調整や、材料調達のための情報収集・提供などに取り組んだ結果、当初予定の日程で製品のデリバリーを実現することができました。今後は、自社工場・EMSのどちらであっても、より円滑に生産移管できる世界共通の仕組みを確立することによって、グローバル最適生産体制のメリットを最大限に発揮させます。
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- Advantest (Singapore) Pte.Ltd. Catherine Chang
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サプライヤーとのWin-Winの関係構築をめざす
私は、V93000シリーズに使用するFPGA/標準半導体/メモリの調達マネージャーを務めています。2012年4月の事業統合以来、私たち調達部門では、最適な調達体制・調達方針の構築による業務のさらなる効率化や、グループでの共同購入によるスケールメリットを追求しています。そのために現在、グループ全体の調達量を踏まえた価格交渉や、合同での戦略的サプライヤーの評価、さらにはサプライチェーンを対象にした紛争鉱物に関する調査などに取り組みながら、サプライヤーとのWin-Winの関係構築をめざしています。
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