Probo No.56のおもな内容 Probo No.56のおもな内容

巻頭言

イノベーションを生み出す組織・人材について

執筆者 アレックス株式会社 代表取締役社長兼CEO 辻野 晃一郎 様
あらまし 2019年末、中国湖北省の省都武漢市で原因不明の感染症が報告された。この感染症の原因は、後にCOVID-19と命名された新型コロナウイルスによるものであることが判明したが、感染力の強い新型コロナウイルスは瞬く間に世界中をパンデミックの大混乱に陥れた。ワクチン接種が徐々に進んではいるものの、ウイルスは変異を続けていて感染収束の目途は未だ立っておらず予断を許さない状況が続いている。
この世界人類にとっての厄災は人々の日常を一変させた。外出規制や自粛要請が続く中、人々のライフスタイルやワークスタイルは否応なしに変化を求められており、普通であれば年単位で進むような変化が月単位で進んでいる。
今は、経済活動の制限や医療の逼迫が人々にもたらす苦しい状況を「何が何でも生き残る」ということが最重要だが、そのためにはただじっと耐えているだけでは駄目だ。今こそ新しいことに挑戦する機会と捉え、個人も企業も国も、どんどん新たな行動を起こしていくことこそが肝要である。まさにイノベーションの好機といえる。

技術論文

磁気シールドルーム外での心磁図計測に向けた空間フィルタの研究

執筆者 (株)アドバンテスト研究所 緒方 祐史 ほか
あらまし 心磁図は非接触計測で心臓の活動を高分解能にマッピングできるため、医療用途やヘルスモニタリングに効果的である。一般的に心磁図計測ではSQUID磁束計が用いられているが、液体ヘリウムを用いるためランニングコストが高い。さらに、磁気シールドルーム内での計測も高コストの要因となっている。それゆえ、我々は磁気シールドルームを必要としない64チャンネルの磁気インピーダンス(MI)センサを用いた心磁計測システムを開発した。しかし、磁気シールドルームがないと、非常に大きな磁気ノイズのために心磁図計測が困難である。
本論文では、高いノイズ除去率を得るために、いくつかのノイズ除去の信号処理方法を調査した。特に、心磁信号を高い強度で計測することを達成するために、64チャンネルの間で共通な相間ノイズを低減する空間フィルタに関して3つの条件を調査した。結果として、チャンネルの外周平均と勾配を用いた空間フィルタを適用することで、心磁図の歪みは最も低減され、R波強度の平均低減量は4.5pTであった。さらに、P波の信号対雑音比が29.1dBであり、R波の場合は42.3dBであった。最終的には、チャンネルの外周平均と勾配を用いた空間フィルタを適用することで、きれいな心磁図を計測することができ、磁気シールドルーム外での心磁図計測に成功した。
Key Words magnetocardiography, magneto-impedance sensor, signal processing, spatial filter

高電圧汎用ピン・エレクトロニクスの開発

執筆者 ATEビジネスグループ テクノロジー開発本部 テクノロジー統括部 第4開発部 PEコア技術課 中村 仁 ほか
あらまし 現在、半導体試験装置において、先端プロセスで製造された高速/低電圧振幅デバイスとレガシープロセスで製造された低速/高電圧振幅デバイスの両方を同じピン・エレクトロニクスで試験する要求がある。しかし、最高速度1Gbps以上と最大電圧振幅10Vpp以上の両立は、半導体素子の耐圧と寄生容量のトレードオフで制限され困難であった。
今回、LDMOSプロセスを用いてこのトレードオフを改善したピン・エレクトロニクスを実現した。
Key Words ピン・エレクトロニクス、動作速度、I/O電圧範囲、Lateral Diffused MOS (LDMOS)プロセス

技術解説

GPUを利用した高速な画像処理技術

執筆者 ATEビジネスグループ T2000事業本部 ソフトウエア統括部 第1ソフトウエア部 MDソフト2課 斎藤 千恵藏
あらまし T2000 CMOS イメージセンサ・ソリューションで提供する撮像試験用画像処理ライブラリ (IPL) において、隣接キズ試験等で頻繁に使用されるフィルタ機能に関し、CPUとGPUを併用して処理時間を短縮した。
既存の画像処理エンジンIPE3 (Image Processing Engine 3)と比較して、新規開発中の画像処理エンジン Next IPE では、6倍程度の高速化を達成した。
Key Words なし