Probo No.62のおもな内容
巻頭言
「大きなSDG」時代のものづくり戦略-CAPアプローチによる産業競争力分析-
執筆者 | 早稲田大学 教授 東京大学 名誉教授 一般社団法人ものづくり改善ネットワーク(MKN) 代表理事 合同会社FTものづくり研究所 代表 藤本 隆宏 様 |
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あらまし | 今日のお話は、「大きなSDG」時代のものづくり戦略です。今は、サステナブル(S)、デジタル(D)、グローバル(G)が全て絡む形で世の中が動いています。ウクライナへの軍事侵攻前に常識であったことが全部覆っています。1つの新しい式が入ると、解が全く変わるのが連立方程式です。そのたびに解き直さなければ、ばらばらに分析しても解は見つかりません。何かが起こって、1つ式が増えたら、改めて解き直すということをし続けなければいけないという大変な時代になりました。 |
技術論文
AlGaN/GaNヘテロ構造への低温アニールオーミックコンタクトの形成機構: Ta系オーミック金属の形成と除去による研究
執筆者 | (株)アドバンテスト研究所 サブテラヘルツ要素技術研究部 瓜生 和也 ほか |
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あらまし | 我々は、AlGaN/GaNヘテロ構造への低温アニールオーミックコンタクトの形成機構を、Ta/Al/Taオーミック金属の形成と除去により調べた。多端子ホール素子測定から、オーミック金属形成後のシート電子密度は、形成前と比較して1桁増加しており、オーミック金属下のAlGaN/GaNヘテロ構造において高濃度ドーピングが生じていることが示された。しかしながら、増加したシート電子密度はオーミック金属除去後に形成前の値に戻ることがわかった。さらに、オーミック金属形成前と除去後のAlGaN/GaNヘテロ構造上にNi/Auショットキーコンタクトを形成し電気特性を評価したところ、ほぼ同じ特性であることを確認した。これらの結果は、オーミック金属除去後にドナーが存在しないことを示しており、オーミック金属下において高濃度ドーピングは生じているものの、高濃度ドナーは形成されなかったことを示唆している。この高濃度ドナーを伴わない高濃度ドーピングは分極ドーピングに起因し、オーミックコンタクト形成に重要な役割を果たしていると考えられる。 |
Key Words | なし |
HBMの個片bare dieをテスト可能としたDie Carrierの開発
執筆者 | DH事業本部 NTC開発部 NHS開発課 大室 俊之 ほか |
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あらまし | High Bandwidth Memory(HBM)に代表される広帯域メモリは人工知能の実用化に伴い市場の需要は大きく拡大している。現状のWaferテストでは、テストにパスしたとしても個片化後の動作保証ができないため、Waferからダイシングした後の個片bare dieでテスト可能なDie Carrierソリューションを開発した。課題は、Die Carrierがbare dieを覆う構造のため①bare dieのPADとProbe Pinを直接観察して位置合わせできない、②直接bare dieを冷却できない、ことである。解決するために、①bare dieのμBumpとDie Carrierの相対位置を間接的に位置合わせする方法、②Die Carrierに冷却媒体を流す流路を設け、熱交換効率を最大限に高める構造を開発した。 |
Key Words | なし |
アプリケーション
T5835によるNANDインターフェイス SCAプロトコル測定手法の確立
執筆者 | 営業本部 システムソリューション統括部 メモリSE部 GMS課 櫛田 透 ほか |
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あらまし | 近年、NANDインターフェイスの高速化に伴い、JEDECによりSCA(SeparateCommand Address) が定義された。従来NANDデバイスのCommand/Address入力はDQピンからシリアルに入力していたが、DQ busとCA busを分割することでDQ bus入力中に次のCommand/Addressを入力することが可能となる。これにより従来のCommand/Address入力、及びPollingを効率良く行い、総合的なデバイスAccess Speedを向上することが可能となる。 SCAプロトコルはDQ bus, CA busそれぞれが異なるタイム・ドメインで動作する。デバイス・コントローラやテスト・システムに求められる機能は、同時に異なるパターン・プログラムを制御する機能と、任意のタイミングでDQ busとCAbusを同期させる機能である。 従来のメモリ・テスト・システムでは、各DUTに対して1つのパターン・プログラムを前提とした制御仕様となっていたが、DQ bus, CA bus 2つのパターンを使用して測定する機能が求められる。T5835ではピン・エレクトロニクス(PEM)が内部的に持つ複数のファンクション・ブロックを活用することにより、異なるタイム・ドメインのパターンを実現した。 任意のタイミングで同期を取るための機能に対しては、ソフトウェアおよびハードウェアによる異なる2種類の手法を確立した。 目的に応じてこれらの手法を使い分けることでSCAによるNANDインターフェイス試験を実現した。 |
Key Words | なし |