お客様の満足度向上
お客様の満足度(CS)向上に関する基本方針
アドバンテストの発想の原点は「お客様の満足度向上」です。「設計初期段階からの品質のつくり込み、ものづくりプロセスの全体最適化の推進、お客様に喜ばれる商品のタイムリーな提供」を全社共通の品質方針に掲げ、性能のみならず環境、安全にも配慮した高品質な製品の提供に努めています。設計・製造・販売・サービスなど、あらゆる分野において、つねにお客様の満足度向上を目指し、これからもお客様の視点に立った、さらなる品質保証、サービス・サポートの提供をグローバルに展開していきます。
CS向上を支えるセールス/マーケティング体制
2011年度の取り組み
半導体市場においてデザインハウスおよび最終製品メーカーのグローバル化が進むなか、テスタメーカーには個々のお客様のニーズのみならず世界的な業界トレンドをタイムリーに把握したうえで、キャッチアップした情報をいち早く経営判断に結びつけていくことが求められています。
そこでアドバンテストは、こうした取り組みを実践するための体制づくりの一環として、2011年6月に事業戦略本部を新設しました。事業戦略本部は、マーケティングとプロモーションのグローバルオペレーションを展開する「グローバル・マーケティング」、商品企画から製品仕様に落とし込むまでのプロセスを担当する「プロダクト・ソリューション」、開発進捗とリスク管理を担う「プロダクト・マネジメント」という3つの組織で構成されています。各組織では、Verigy社との統合によるシナジーを最大化するためリソースや製品ロードマップの統合を推進するとともに、マーケティングから商品企画、開発、プロモーション、そして次の商品のマーケティングというサイクルを効率的かつ速やかに回しています。また、セールス体制においては、地域を横断してファブレス(Fabless)、ファウンドリ(Foundry)、OSAT(Outsourced Semiconductor Assembly and Test)ビジネスを担当するFFOチームを発足させました。
このように強化したマーケティング・セールス体制のもと、意思決定の迅速化を図り、真にお客様が満足する商品やソリューションの創出に努めています。
セールス/マーケティング体制
セールスマーケティングにおけるCS向上活動
近年、半導体メーカーから電子機器メーカーに対して、「ワンパッケージ化」または「モジュール化」によるシステム化を提案する機会が増加しています。これは、マイコンとアナログ、CPUとメモリなどチップベースのIPを組み合わせ、ワンパッケージにすることです。これにより電子機器メーカー側でシステム化するプロセスを省略することができます。
こうした提案機会が増加するなか、半導体試験装置への要求も同一機種(同一プラットフォーム)で、すべての分野の半導体試験に対応が可能なテスト・システムが求められています。
例えば、活況を呈するスマートフォン市場ですが、ここで使用されているCPUは、非常に小型でありながら高性能を有しています。この小型で高性能なCPUの試験において、アドバンテストは、T2000のEPP(Enhanced Performance Package)により、多数個の試験を同時かつ短時間で可能にし、大幅なテストコスト低減に貢献しています。
また、環境対応車に代表されるハイブリッドカー向け半導体は、さらなる高信頼性かつ高効率性が求められています。そして、これらの半導体は高電圧/大電流で動作しており、取り扱い方法に関しても、細心の注意が必要とされます。当社では、従来計測器で単測していた高出力半導体にもATEの試験方法を採用することで、その生産性とテストコスト低減の実現に取り組んでいます。
カスタマサポートの推進
アドバンテスト・グループは、グローバルな視点によるサービスビジネスの再構築を目指し、カスタマサポートに関する基本方針を定めています。
2012年度の方針・目標・計画
2012年度は、Verigy社との統合効果によってフィールドサービスセンタ(FSC)のエンジニアリソースを融合し、相互の技術・知識を共有することで効率化を目指します。同様に、サプライチェーンについても両者で共通する業務を一本化し、保守機材の運用方法を統合することで、管理コストを削減します。
また、グローバルサポートセンタでは、お客様の要求に対するレスポンスを早くし、トラブルの解決時間を短縮することにより、CS向上を目指します。さらに、FSCでは、フィールドサービスにおける作業安全を徹底することで、安全作業基準を確立し、継続的に事故ゼロを目指す計画です。
国内におけるカスタマサポートの強化
サポート受付シート
グローバルサポートセンタにお問い合わせいただいた、国内のお客様のさまざまなトラブルについては、活動当初は24時間以内の解決が64%、機材お届けの場合は48時間以内の解決が50%という状況でした。アドバンテスト・グループでは、国内におけるカスタマサポートのいっそうの強化を図るため、24時間以内に85%以上、交換機材をお届けして修復する場合は、輸送時間を考慮し、48時間以内に95%以上の問題解決を目標としました。
2011年度は、サポート依頼内容を記録する受付シートを作成し、ボード上に表示することで、受付から依頼案件の終了までの工程を把握できるようにしました。さらに、その全工程を管理する責任者を決め、サポートに従事する個々の担当者へ的確な指示を行うことで、お客様が抱える不具合が長期化しないよう対処法を強化しました。また、お客様にメールをお送りし、サポート後の状況をうかがうことで、より確実な解決に努めました。
メール通信文
お客様
先日、ご質問いただいた件、その後、進捗ございましたでしょうか。ご不明な点がございましたら、何なりとお問い合わせください。
よろしくお願い申しあげます。
こうした取り組みの結果、国内のお客様のカスタマサポートでは、24時間以内の解決が90%、交換機材をお届けの場合は48時間以内の解決が95%まで改善しました。
海外におけるカスタマサポートの強化
お客様のビジネスモデルがファブレス(製造の外部委託)化するに従い、アドバンテスト・グループの海外売上比率は80%を超え、市場が海外に広がっています。
当社グループでは、お客様の生産拠点が海外に移転した際にも、例えば生産設備に何らかのトラブルが発生した場合、迅速かつ適切に問題を解決し、稼動停止時間を最小限にできる、グローバルなサポート体制の強化に取り組んでいます。当社グループにとって、お客様の生産設備を安定的に稼動させることは最大の課題であり、海外のお客様へのサポートについては、生産設備の問題発生から解決までに要した時間(=生産設備の停止時間)を指標とし、72時間以内に解決することを目標にしています。2011年度は、以下のようにサポート体制を見直し、新たな体制で取り組むための整備を進めました。
グローバルサポートの体制
∗ GSC:グローバルサポートセンタ
グローバルサポートセンタの様子
交換プログラムに参加する
海外関係会社のエンジニア
台湾倉庫
- 2011年度、当社グループは、国内のお客様サポートを担当しているサポートセンタと海外関係会社のお客様サポート部門を支援しているグローバルサポート部門を統合し、専任のエンジニアを常駐させた新生グローバルサポートセンタ(GSC)を立ち上げました。GSCは、世界中のお客様から寄せられるサポートの依頼や問い合わせの窓口を一本化し、英語に堪能なエンジニアを配置することによって、回答に要する時間を短縮しました。
- 当社グループでは、海外サポートのさらなる充実とエンジニアのスキルアップを図るため、2011年度から、アジアを中心とした海外関係会社と国内のお客様サポート部門の間で、グローバルサポートを担当するエンジニアの交換プログラムを開始しました。本プログラムは、エンジニアの語学力、異文化対応力、技術的スキルの向上などを目的とし、2~3年の長期で行います。現在、日本から4名のエンジニアを派遣し、海外からも4名の現地エンジニアを受け入れています。
- 海外の各サービス拠点では、保守で使う交換機材を保管しておき、お客様に最も近い拠点から95%以上の確率で、24時間以内に必要機材の発送を実現しました。さらに海外のカスタマサポートでは、各拠点の交換機材の使用状況をもとに、世界各地のどこにどの交換機材を用意するか、情報を日本で一括管理し、決定する仕組みを整備しています。また、ハンドラ等の交換機材を迅速に手配するために、新たに海外2拠点に部品倉庫を配置しました。
- 上記のほか、生産に関わる課題については、お客様とともに解決に取り組むソリューションエンジニアを台湾、米国および日本に配置し、技術サポートはR&D部門と一体となって、解決に要する時間を短縮するため、ドイツ、米国および日本の体制を整えています。また、修理にかかる時間短縮のため、台湾、韓国、中国において修理工場の立ち上げにも取り組んでいます。
このような体制整備の取り組みの結果、2011年度は全発生件数の75%以上で目標を達成しており、72時間以内に解決できなかった案件については、“なぜなぜ活動”を徹底し、今後の問題解決時間の短縮につなげていきます。
VLSIリサーチ社のお客様満足度調査で「10 BEST」を24年連続受賞
アドバンテストは、お客様のニーズを的確に把握し、高性能かつ高品質なトータル・テスト・ソリューションをタイムリーに提供することを目指しています。
日々のビジネスから得られる情報に加え、半導体の市場調査で著名なVLSIリサーチ社のお客様満足度調査に毎年参加し、お客様のニーズの把握に努めています。当社は、この調査において、もっとも優れた10社に贈られる「10 BEST」を24年連続受賞しています。
また、営業部門・システムエンジニア部門・フィールドサービス部門と共同で、2年に1回、当社独自のお客様満足度調査を実施しています。当社は今後も、幅広いお客様の声に耳を傾け、最適なソリューションを提供し、よりいっそうのお客様の満足度向上に努めていきます。