品質管理 品質管理

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品質管理体制

アドバンテストでは、『お客様の満足度向上』を品質方針として、国際規格である ISO 9001 に適合した品質マネジメントシステムを全社的に構築し、運用しています。

トップマネジメントによる統括のもと、品質保証本部長を責任者とし、全社的な枠組みで推進組織を整備し、システムの維持・改善に努め、『お客様の満足度向上』を目指しています。また、独立した内部監査の仕組みを構築し、定期的に内部監査を実施して、継続的にシステムの維持、改善を図っています。

2012年度は、グループ会社拡大にともない、主に品質マニュアルの改訂と内部監査の拡充などを進めていきます。

ISO9001認証取得状況
適用規格 ISO9001:2008
認証書登録番号 12 100 15196 TMS
適用範囲 半導体試験装置、EB露光装置、EB検査装置、テラヘルツ応用製品、電子計測器の設計、開発、製造、販売、据付け、校正、サービス及びサポート
認証機関 テュフズードマネジメントサービスGmbH
初回認証日 1993年 6月11日(群馬工場がISO 9002:1987 を認証取得)
対象事業所 株式会社アドバンテスト、日本エンジニアリング株式会社、株式会社アドバンテスト九州システムズ、株式会社アドバンテスト コンポーネント

設計品質の向上に向けた「デザイン・レビュー制度」

アドバンテストの製品には、つねに高機能・高性能・高品質が要求されており、これを実現するための回路は日増しに大規模化、複雑化しています。その一方で開発工期の短縮も求められ、当社では、これらの要求に応えるためには、設計の上流段階での品質のつくり込みと早期の問題抽出が最重要であると考えています。そして、これを実現するための仕組みとして、2008年より新たなデザイン・レビュー制度を導入しました。

当社は、これまでもデザイン・レビューを実施していましたが、事前にデザイン・レビューの計画を立案するといった運用ルールではなく、部門により開催頻度やレビュー内容などにばらつきがありました。また、指摘事項は、個人管理になるケースがあり、担当者が多忙な場合、フォローアップが後回しになり後戻りが発生するなどの問題点もありました。

そこで新しいデザイン・レビュー制度では、これまでの問題点を改善するため、以下の仕組みを新たに取り入れました。

  • 製品開発開始時に、プロジェクト・リーダーがデザイン・レビューの実施計画を立案し、確実にデザイン・レビューを行う仕組みに変更。
  • 指摘事項を「見える化」し、担当者やプロジェクト・リーダーに加えて品質保証部門も残件を監視してフォローアップ漏れが防止できる仕組みに変更。
  • 社内の有識者を専門分野ごとに組織化し、関連したデザイン・レビューには有識者が参加する「デザイン・レビュー・マイスター制度」を導入。これにより、デザイン・レビューでの検出率を高めるとともに、技術継承や教育効果も得られる運用を推進。

    デザインレビューマイスター制度

    開発プロセスと設計品質保証体系
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    DRマイスター制度の組織体系
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こうした活動の結果、近年では設計段階での問題抽出率が向上し、これにともなって後工程への問題流出数が減少したため、後戻りが少なくなり開発遅延を最小限に抑えるなど、一定の成果を挙げています。また、新しいデザイン・レビューでは、設計品質向上と開発工期短縮の成果を挙げましたが、その一方で設計者本人が検出すべき問題が、デザイン・レビューや後工程に流出してしまうという課題も散見されるようになりました。

当社では、これらの流出した問題の分析とフィードバックを行い、仕組みを改善していますが、今後はデザイン・レビュー前の事前確認の徹底を通じて、より高い設計品質を実現するための設計プロセスを構築していく計画です。

「全故障データを把握する仕組み」を活用した信頼度設計

アドバンテストでは、製品のライフサイクル全般にわたって信頼性を確保するために、製品の設計段階から、故障や不具合の原因になり得る要素をできるだけ排除しています。これを実現するための基盤として、品質に関する情報を集約した統合品質管理システムを構築し、2005年から製品で使用されるすべての部品について市場の故障実績と出荷母数などをデータベース化しました。そして、データをもとに新製品の信頼度を予測し、目標とする信頼度を達成しなかった場合は選定した部品や装置の設計を見直しています。

しかし、これまでデータベースには市場で故障した部品以外に当社で交換した部品などのデータも含まれており、各担当者が故障部品とそれ以外のデータを仕分ける作業が発生していました。これがデータの均質化にも影響を及ぼしていたため、故障部品のデータを自動的にフィルタリングする機能を追加してデータの精度を向上させ、信頼性の高い部品を効率的に選択できるようにしました。こうした仕組みのもとで集中的な信頼度向上活動を展開し、目標の達成を促進しています。

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ソフトウェアの品質向上に向けた取り組み

アドバンテストでは、テスタやハンドラなどの装置を制御するためのソフトウェアを出荷するにあたり、開発部門での開発が完了した段階で品質保証部門がその品質を確認する工程を経て出荷しています。

近年は、ソフトウェアの高機能化にともない、開発規模が増大するとともに複雑化しており、開発終了段階での品質が社内での合格基準を満たせず、お客様へタイムリーに提供できないという問題がありました。

この問題を解決するために、当社は2008年より、開発部門の協力を得て、「new Software Process Review活動(以下nSPR活動)」を実施してきました。この活動は、特定の製品に対し品質保証部門が開発作業の上流工程から開発計画の内容や、デザイン・レビューに参加しながら各開発工程での成果物(仕様書)を確認し、問題点を早期にフィードバックして、開発成果物の品質を向上させる活動です。

2011年度のnSPR活動では、開発計画に対して、計画の段階で作業項目の漏れがないことと、計画の進捗に問題やリスクがないかを定期的に確認しました。また、開発成果物(仕様書)に対しては、各開発工程の仕様書間で、記載内容の漏れなどを確認することで、問題点を開発部門へフィードバックしました。さらに、開発終了時には改善課題を設定し、次期開発時に同じ問題を繰り返さないための活動も推進してきました。

こうした取り組みの結果、nSPR活動実施前の新規テスト・システムに対応するソフトウェア(A)と、nSPR活動実施後の新規テスト・システムに対応するソフトウェア(B)を比較した場合、ソフトウェア出荷後に発生した不具合の数が、(B)は(A)の約1/5に減少しました。また、品質保証部門における品質確認の期間も、(B)は(A)の約1/8に短縮され、お客様に品質の高い製品をタイムリーに提供できるようになりました。

2012年度からは、nSPR活動の内容をすべてのソフトウェア製品に展開するために、ソフトウェアの製品認定の制度を改定し、さらなる品質の向上およびタイムリーな提供を実現していきます。

nSPR活動による成果
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