環境ハイライト2012
アドバンテスト・グループの節電の取り組み
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方を中心に、壊滅的な人的、建物被害を与えました。福島第一原子力発電所をはじめとする電力供給施設も大きな打撃を受け、関東・東北地方は、深刻な電力不足に見舞われました。電力の不足は、人々の日常生活や企業活動に大きな打撃を与えます。それにともない、経済や産業の発展が阻まれることとなり、最終的には被災地支援の妨げともなります。
アドバンテスト・グループでは、これまでも環境行動計画を策定し、地球温暖化防止へ取り組んできましたが、さらに厳しい状況を踏まえた、より無駄の少ない、成果の高い活動が必要だと考えています。生産性の向上にもつながる省エネルギー活動や、事業所・オフィスの中での取り組み、電力使用量が高くなる夏期における効果的な節電対策など、省エネルギー委員会、温暖化防止委員会を中心に検討を重ね、決定した事項を全社に展開していきました。
活動結果
アドバンテストコンポーネントの取り組み
クリーンルーム空調制御の仕組み
∗ ピーク時1日当たりの3号館とA館合算
アドバンテスト研究所/仙台工場 7月1日~9月2日(64日間)の使用電力量比較
アドバンテストコンポーネントでは、東日本大震災発生後、社員と家族の安全を確保したうえで、研究・生産機能の復旧に努めました。しかし、電力会社の被害は甚大で、電気事業法第27条が発動されました。これをうけ、アドバンテスト・グループは、自主目標を「夏のピーク電力20%削減」と定め、アドバンテスト研究所/仙台工場も一丸となって節電に取り組みました。
全電力の約70%を占めるクリーンルーム空調電力の削減を軸に活動を行い、他にも照明の間引きや、徹底した一般居室冷房の抑制にも同時に取り組みました。
電力データの解析によって、クリーンルームの温度を23℃から25℃へ2℃上げることで目標達成可能と判断したものの、10万分の1mmレベルの精度が要求される製造への影響は非常に大きなものでした。特に製造条件の調整が困難な工程は、生産調整により事前に処理を完了させました。またこのほかの数百におよぶ工程では、必要に応じて製造条件の調整を実施し、クリーンルームの温度を25℃に設定し、製造業務を遂行しました。
これらの節電活動に取り組んだ結果、アドバンテスト研究所/仙台工場における2011年夏の64日間(7/1~9/2)で、昼間のピーク電力20%削減を実現させ、同時に前年比で497MWh(24%)の使用電力量削減を達成しました。電力会社からの電力供給はまだまだ先行き不透明な状況ですが、各方面からの情報を集め、2012年夏とそれ以降をも含めた長期的視野で今後も節電活動を継続していきます。
埼玉R&Dセンタ、群馬R&Dセンタ、群馬工場、群馬第2工場、アドバンテスト研究所/仙台工場の取り組み
蛍光灯の間引き
reductions
壁面への散水
アドバンテスト・グループでは、埼玉R&Dセンタ、群馬R&Dセンタ、群馬工場、群馬第2工場、アドバンテスト研究所/仙台工場の計5事業所が、政府の目標である15%を超える、20%の使用最大電力削減を目標に設定し、夏期節電対策に取り組むこととしました。
企業にとって重要なことは、事業活動に必要な電力を確保することです。電力の使用量を制限することにより、作業効率の低下や工期の延滞が発生し、企業の収益が減少してしまえば、間接的に被災地復興へ支障をきたします。そこで、契約電力の多い群馬R&Dセンタ、群馬工場、群馬第2工場の3事業所に自家発電機を設置し、自社の電力を確保することで、電力会社からの電力購入量を抑制しました。さらに、安全に作業ができるレベルの照度を確認したうえで、蛍光灯の間引きや照度の引き下げに加え、設備の稼動時間をテストし適正に運用するなど、事業活動を考慮しながら、さまざまな省エネ活動を実施しました。これらの施策により、規制に該当する5事業所の2011年度7月から9月までの使用最大電力は、前年度比35%の削減を実現しました。
事業所における節電対策一覧
- 蛍光灯の間引き、照度の引き下げ
- 照明のLED化
- 建物の屋上、壁面への散水
- 高効率設備への入れ替え(サーバー、厨房用冷蔵庫、空調機など)
- 窓を遮光フィルムでカバー
- 空調機の動力の主体を電気から重油やガスへ変更
- 夜間電力の備蓄
- 自動販売機、電気給湯器の一部停止
その他のオフィスの取り組み
アドバンテスト・グループでは、オフィスにて取り組むべき省エネルギー活動を計画し、実施を働きかける組織として、2011年6月に節電ワーキンググループを設置しました。ここで決定した活動事項は、ネットニュースや社内報を通して全社員に通達されます。クールビズや消灯の徹底、室温の適正化、離席時のモニタ電源OFFなど、オフィスでの取り組み一つひとつは小さいものですが、その積み重ねによって大きな効果が期待できます。
また、社員一人ひとりの節電に対する意識の向上を図るため、イントラネット上に事業所の電力量を閲覧できるモニタを設置し、電気使用制限等規則の対象となる事業所の使用電力、契約電力、最大電力、目標電力が閲覧できるようにしました。
電力モニタ
さらに、事前に設定した目標電力80%を超えた場合には、館内に放送が流れ、自動で事務フロア・実験室の照明の一部が切れ、空調が間引き運転となります。
これらの各自の努力の結果、2011年度夏期は、目標電力をつねにクリアする成果を挙げることができました。
オフィスにおける節電対策一覧
- クールビズの実施
- 個人PC、モニタの保有台数を1台に制限
- PCの省エネ設定の徹底
- 昼休み、退社時の消灯を徹底
- 事務機器の不使用時の電源OFF
- 事務フロア、会議室、通路などの設定温度を原則28℃に設定
- 事業所ごとに夏期休暇をシフトする輪番操業の実施