グリーン製品
基本的な考え方
社会の持続可能な発展への貢献、地球環境に配慮した事業活動の展開は、今日の会社経営においては必須の事項となっています。アドバンテスト・グループでは高精度・高品質を第一に、環境保全という視点で製品開発に取り組み、「省エネルギー・省資源対策」「リサイクル性の向上」「有害物質の排除」の3つのポイントで環境に配慮した製品をグリーン製品と認定しています。グリーン製品においては環境負荷の低減と同時に経済的な価値の向上も見られるため、当社グループではグリーン製品の提供が社会的要求に応え、お客様のメリットにもなるとの考えに基づき、取り組みを推進しています。
グリーン製品提供までの流れ
アドバンテスト・グループでは、新製品に対して製品環境アセスメントを実施しています。
製品環境アセスメントでは、省エネ・省部材・小型化、リサイクル設計、有害物質の排除などの項目について審査を行い、アドバンテストで定めた「グリーン製品自主基準」をクリアした製品に、グリーン製品認定品として「エコラベル(タイプⅡ)」を付与しています。
グリーン製品提供までの流れのフロー
アドバンテストのエコラベル
アドバンテストのエコラベルは、独自にデザインしたもので、3つの緑色は「省エネ・省資源」「リサイクル設計」「有害物質の排除(グリーン調達)」を表現しています。
省エネ、省資源
自主基準
- 省エネ設計
- 省部材設計
- 小型化設計
リサイクル設計
自主基準
- 再生可能な樹脂材料の使用
- 解体の容易性を考慮した設計
- 廃棄情報の開示
有害物質排除
(グリーン調達)
自主基準
- グリーン調達率の向上
- 使用禁止物質の排除
省エネ、省資源
製品の環境負荷の低減を推進するため、製品の省エネルギー、省部材、小型化を考慮した製品設計を行っています。
リサイクル設計
リサイクル設計においては、製品廃棄の際、処理に注意が必要な部位の情報提供を行い、自社で設計した樹脂部品には、リサイクル可能な素材の使用を推進しています。また、解体は一般工具で容易に解体を可能にし、電池類はリサイクルマークのある電池を使用しています。
有害物質排除(グリーン調達)
製品から有害物質を排除するために、 JIG-101(2012年度内に国際規格である IEC 62474 に移行予定)に準拠した禁止物質の社内基準を定め、製品に使用する部品、部材に含有する有害物質の調査を行っています。
2011年度認定の「グリーン製品」
2011年度は、以下の製品をグリーン製品として認定し、お客様に提供しています。
- T2000 SP2MF
- T5773
- T5773ES
- M4742A
- U38シリーズ
- T2000モジュール関係5製品 等
グリーン製品の紹介
メモリ・テスト・システム T5773
トータル・テスト・コストを下げるシステム要求に応えるために
T5773
スマートフォンやSSD (Solid State Drive) などの普及にともない、製品内部で使用されているNAND型フラッシュ・メモリの生産量も拡大しています。また、NAND型フラッシュ・メモリは大容量化が進み、デバイス・テスト時間が増加する傾向にありました。同時にデバイスの高速化も今後ますます進んでいくなか、トータル・テスト・コストを下げることができるシステムの要求が高まっていました。こうしたなか、2012年7月に上梓したT5773は、NAND型フラッシュ・メモリを、従来型から高速インタフェース仕様まで、高効率、低コストで測定を可能にした製品です。
従来製品に比べ、56%の部品減量化と75%の小型化を実現
T5773は、開発当初より構成部品に求められる要求を明確化し、従来は共通のユニットやカスタム部品で構成していた部位に、汎用部品を効率よく使用し最適化しました。これによって、信頼性の向上と、従来比で単位性能あたり56%の部品の減量化および75%と大幅な小型化を実現しました。
必要な数だけ自由にテストヘッドを組むことが可能
テストヘッドは、スタッカブル構造を用いることで、128個同測が可能なテストユニット(TU)を1つの単位とし、TUを1台から6台まで最大768個の同側個数まで、自由に組み合わせて構成することが可能です。従来のテストヘッドは、最大構成のテストヘッドサイズのみで提供していましたが、T5773では、お客様に最適なサイズを提供することが可能です。
電源位置の変更と新規開発したテストプロセッサーで、消費電力を79%削減
また、従来は、テストヘッドの最大構成にあわせて、メインフレームに電源を搭載していましたが、T5773では、TU内部に電源を搭載し、ボードで消費する電源は、TU内部で供給しています。このため、メインフレームに余剰な電源を持つ必要がなく、ボードと電源の距離が最短となることで、ケーブルによる損失が低減され、消費電力削減に寄与します。
さらにテスト・システムの要となるファンクションボードでは、テストプロセッサー(TP)を新規に開発し、高スループットを実現しながら、従来比の単位性能あたり、消費電力79%を削減しました。
このように、アドバンテスト・グループでは今後もお客様視点で、もの作りを進めていきます。
電力増加を抑えた製品開発を目指して
谷口 祐樹
株式会社アドバンテスト
メモリテスト事業本部
第7開発部
T5773開発プロジェクトでは、NAND型フラッシュメモリの測定に限定することで、電力増加を最小限に抑えたテストモジュール開発を目指しました。通常のテストモジュールはテスタ向けに特化した専用ICを用いてドライバ/コンパレータ回路を構成しますが、専用ICでは機能/性能は優れている反面、消費電力が大きくなる傾向にあります。T5773ではCMOSの汎用ICを用いてドライバ/コンパレータ回路を構成することにより、機能/性能は通常テスタと比べると制限されるものの、NAND型フラッシュメモリの測定に特化することで、低消費電力のテストモジュールの開発を実現しました。今後も測定対象により必要十分な機能を取捨選択することで、電力増加を最小限に抑えた製品開発に取り組んでいきます。
製品環境情報比較
スケーラブル・クラス・テスター V93000 Smart Scale
V93000 Smart Scale A-Class
V93000 Smart Scaleは、SoCデバイスを評価・試験するスケーラブル・テスターで、V93000プラットフォームと完全に適合し、先進的なパー・ピン機能を備えた革新的な「スマート」世代のテスターです。
また、Smart Scaleテスターの4つのクラス、A、C、S、Lは、それぞれに異なったサイズのテストヘッドであり、ユーザーの特殊なアプリケーションに対して最も効率的なソリューションを提供します。テスターのクラスはお互いにシームレスに適合しているため、ICの量産規模が製品寿命期間中に変わった場合においても、ユーザーはあるSmart Scaleクラスから別のクラスへと半導体デバイスを迅速かつ簡単に移動させることができます。さらに、モジュール対応であるため、デバイスの機能に応じて柔軟にシステム構成を変更できます。
これらの機能により、測定対象となるデバイスごとに、テスト・システムを導入する必要がなく、テストコストの削減とテスト資産の省資源、廃棄物削減など有効利用に大きく貢献します。
また、並列テストにおける試験処理能力が高まることで、単位性能あたりの消費電力の削減を可能にします。
グリーン製品の販売推進
近年、多くの企業が環境経営に取り組んでいますが、アドバンテスト・グループでも環境方針の中で、「グリーン製品の提供」や「お客様の環境負荷低減」を掲げ、製品環境アセスメントに基づきグリーン設計基準書に従って開発、独自のグリーン製品基準で認定された各種製品の提供に努めています。
2011年度実績
2010年度より、年度別にグリーン製品販売比率(台数ベース)の目標値を設定しており、2011年度はグリーン製品販売比率95%以上の目標に対し、97.5%を達成しました。この結果、国内半導体大手メーカー様より「エコVC* 活動」を受賞しました。
また、当社ホームページでは、グリーン認定製品を示す「エコラベル」を対象製品の写真に付加することで、お客様の便宜を図るとともに、製品別プレゼンテーション資料には環境負荷低減データを明記し、企業イメージ向上に貢献できる試みも実施しています。
2012年度は、一部の非グリーン製品(中古)の販売が予定されていますが、グリーン製品販売比率を限りなく100%に近づけられるよう努めるとともに、リユース HIFIXの推進やリターナブル梱包材など、引き続き新たな提案による環境負荷低減を目指していきます。
∗ VC:Value Creation