人財の育成 人財の育成

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人財育成方針

企業価値を向上させるには、社員一人ひとりが、自分の役割を明確に把握し、個人の能力を高める必要があります。 また、すべての社員が主体性を持って求められる能力を磨くと同時に、その個々の力がグループの力として十分に発揮し、グローバルな舞台でビジネスを展開することが求められます。

さらに、斬新なアイデアを製品という形に変え、世の中に送り出すためには、グループとしての力の結集が必要であり、グループをまとめる優れたマネジメントスキルも重要です。

アドバンテストでは、2003年4月に定めた人財育成方針により、下図の3つの方針に基づき人材育成に取り組んでいます。

特に、「チャレンジスピリット」、「グローバル化」、「マネジメントのレベルアップ」の3つの方針を、グローバルに通用するプロフェッショナルな人材育成の要点として、注力しています。当社では、これらの方針を通じてたゆまぬ努力をもって自己研鑚に励み、高度な専門知識や幅広い教養を身につけようとする社員を積極的に支援しています。

グローバルに通用するプロ人材の育成
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教育研修体系と実施状況

アドバンテスト・グループは、基本的な知識から最新の技術動向までを幅広く学ぶことができ、あらゆる階層で誰でも参加できる教育研修プログラムを用意しています。このプログラムでは、つねに環境変化に適応した、新たな教育体系に移行すべく、改善検討を続けています。

そして、グローバル化の進展により、大きく変化するビジネス環境に適応するために、当社グループでは、2011年度より事業戦略を推進するうえで必要な社員像を明らかにし、これに沿った人材教育体系について検討を開始しました。また内容の充実を図るため、グローバル系研修の拡充など、新規プログラムの企画、実施に取り組むことにしました。

従来の教育体系は、アドバンテストと国内関係会社を対象に構築し、プログラムを展開してきましたが、Verigy社の子会社化にともない、今後は、従来以上にグローバルな視点から教育体系を再構築する必要があるため、海外各関係会社の教育体系を調査し、担当者が意見交換を行いました。新規プログラムは、研修内容に応じて、内部/外部の講師を使い分け、各分野の専門家による効果的なプログラムを企画しました。

2011年度は、新規プログラムを追加して実施しましたが、研修後のアンケートで「有益だった」との回答が多く寄せられたため、2012年度も継続する計画です。今後、教育体系は、グローバルな視点をもって再構築するため、国内だけでなく海外関係会社の意見も取り入れ、協力を得ながら具体化していく予定です。

プログラム名 目的 対象 実施回数 受講者数
部下育成研修 マネジメント力強化 管理職 2 40
メンタルヘルス研修 マネジメント力強化 管理職 14 403
セクシャルハラスメント、パワーハラスメント防止セミナー* マネジメント力強化 管理職 1 59
プロジェクト・マネジメント研修*> マネジメント力強化 一般社員 1 24
キャリア開発プログラム マネジメント力強化 一般社員 1 15
問題解決力研修 マーケティング力強化 エンジニア 3 67
技術・マーケティングコース マーケティング力強化 エンジニア 2 33
グローバルマインドセット研修* コミュニケーション能力強化 管理職 2 30
ビジネスコミュニケーション研修* コミュニケーション能力強化 一般社員 3 37
異文化理解コミュニケーション研修* コミュニケーション能力強化 一般社員 2 54
自信力強化研修* コミュニケーション能力強化 一般社員 1 15
技術セミナー 最新技術の知識習得 エンジニア 92 2,084

∗ 2011年度の新規プログラム

エンジニアの育成

アドバンテスト・グループでは、当社の製品が世の中の先端技術を支え続けることを目的に、特にエンジニアの教育に力を入れています。

基礎知識から最新の技術動向について幅広く学ぶことができる、独自のプログラムを用意しており、当社グループの社員であれば、誰でも参加することができます。

2011年度は、約90回の技術セミナーを行い、延べ約2,000名のエンジニアが受講しました。プログラムのなかには、ベテランのエンジニアが講師になるものもあり、例えば、設計品質をテーマとしたものでは、設計業務を担当する社員が自身の経験を基に、品質維持と向上に欠かせない基礎技術について講義します。これらのプログラムを通して、技術的な知識だけでなく、アドバンテストのDNAも受け継がれていきます。

新入社員の教育・研修

新入社員は、まず1カ月間の集合研修によって、社会人としての基本を身につけ、会社を知ることから始めます。その後、ものづくりの原点である製造研修と、技術系、事務系に分かれての職種別研修を受けます。

職種別の研修では、技術系社員は、最初に設計の基礎を学び、その後、テスタの実機を用いた「デバイス測定研修」、簡易テスタを設計し、ハード開発を体験する「ハードウエア研修」、プログラミングについて学ぶ「ソフトウエア研修」を受け、アドバンテストのエンジニアとして必要な技術を習得します。事務系社員は、営業、購買、管理の3部門で実習を行い、グループ全体の事業内容や、部門間の業務のかかわりを学びます。現在、海外に派遣して語学習得や現地の人との交流を通じて異文化を理解する、海外研修も検討しています。

このように、新入社員はさまざまな業務を経験することで配属後の自分の役割を強く認識し、関係部門と協力し合って業務を進めていくようになります。新人研修の期間は当社の社員になるための、大切な形成期間といえます。

新入社員研修の構成
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ダイバーシティ(多様性)を活かした人材マネジメント

アドバンテスト・グループでは、個々人の多様性を受容し、社員一人ひとりが最大限に力を発揮し、いきいきと活躍できる職場づくりを目指します。

当社では、つねに多様な価値観を受け入れ、性別・年齢・国籍に関係なく活躍できる企業風土づくりを推進していく必要があると考えています。なかでも全社員の内の女性の割合は全体の13.6%、管理職についても1.7%という数値であり、特に女性の採用を拡大する取り組みが必要でした。

当社では、もともと男性比率が高い技術系の学生の採用が多かったため、従来の採用活動では、なかなか女性が当社を受験するための動機付けができていませんでした。こうした状況を踏まえて、2011年度は、特に技術系の女性に対して当社の魅力を伝えることに注力し、女性を対象とした就職イベントへの参加や、見学会の企画・実施に取り組むことにしました。具体的には、女性を対象とした合同企業説明会に参加しました。多くの学生に、職場環境やキャリアプラン、各種制度の説明を行い、アドバンテストの女性社員がどのような分野で活躍しているかを紹介しました。また、12月には群馬R&Dセンタで、技術系を対象とした事業所見学会を行い、全国から学生が参加しました。実際に開発の現場で働く女性社員による座談会を開き、先端技術分野での開発や日々の生活などについてディスカッションをしました。

こうした取り組みの結果、2012年4月入社者のうち、女性が占める割合は27.5%となりました。当社は今後も、継続して女性比率を上げる取り組みに注力していきます。

新卒採用人数の推移(アドバンテスト単体)
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男女別社員数(アドバンテスト単体)
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(2012年3月31日現在)

グローバル人材の採用・活用

アドバンテスト・グループでは近年、事業のグローバル化を背景に、異文化に対する理解が深く、高いコミュニケーション・スキルを持って、グローバルな舞台で業務を遂行できる人材の獲得を強化する必要性が高まっています。また、ビジネス環境のボーダーレス化にともない、海外関係会社との人材交流を通して、人材育成、組織のグローバル化を推進する必要が高まっています。

こうしたなか、当社では、グローバルな舞台で使命を達成できる人材の採用を拡大するため、特に海外の学生や海外からの留学生の採用活動に力を入れています。また、社員にグローバルな環境下での業務遂行を経験させるため、海外関係会社との人材交流を継続的に行うこととし、双方の組織における日常業務やトレーニングを通して、それぞれの持つ技術やノウハウを共有することで、個々の社員が、より高度な技術と多様なビジネス環境に適応したスキルを習得する取り組みを企画しています。

また、2011年に当社では、海外の学生や海外からの留学生の採用を拡大するため、日本各地で開催された海外の学生・留学生向けの就職イベントに参加しました。また、海外の学生の入社時期をそれぞれの卒業時期に合わせ、柔軟に対応することで、生活環境の大きな変化による負担に配慮しました。

このほか、海外関係会社との人材交流は、職種に関係なく、各部門で頻繁に行っています。滞在が短期間の場合は出張、長期にわたる場合は出向として扱い、日本と海外の間で双方向の人材交流ができるよう、体制を整えています。

こうした活動の結果、海外の学生、海外からの留学生の就職イベントを通して、採用まで結びつけることができました。今後も、国内だけでなく、海外の就職イベントに参加するなど、採用活動についてもグローバルに展開していく予定です。また、新入社員研修は4月入社を基本に設計していますが、入社時期に関係なく、より柔軟に適用できるよう改善する計画です。

現在、アドバンテスト単体では、10カ国の国籍の社員が働いており、経営幹部である執行役員も17名中4名が外国籍です。今後も、優秀な人材には国籍を問わず公平にチャンスを与え、国境を越えた人材登用、交流により、グローバルな人材の育成と組織のグローバル化を推進していきます。

高齢者の積極活用

2006年4月から、国の年金支給開始年齢の引き上げに合わせ、高齢者を段階的に65歳まで雇用することが義務化されました。これにともない、アドバンテストでも高齢者再雇用制度を改定し、個人の希望を聞いたうえで柔軟に対応しています。再雇用にあたっては、適切な処遇、配属を決定し、積極的に高齢者のスキルやノウハウを活用しています。

再雇用制度利用者推移(アドバンテスト単体)
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